先日、「安心して体をまかせてもらえる施術者であるために」
というタイトルで書きましたが、
逆に、
「安心して体をまかせられる人」
って、どんな人か?
ということを考えてみました。
あなたはいかがですか?
どんな人だったら
「安心してこの人にまかせたい!」
と思えますか?
医学の世界では、
古代ギリシャの時代に
ヒポクラテスというお医者さんが
医師の職業倫理について書いたという
「ヒポクラテスの誓い」という文言が
知られています。
その中に、こんな言葉があります。
「養生治療を施すに当たっては、
能力と判断の及ぶ限り
患者の利益になることを考え、
危害を加えたり不正を行う目的で
治療することはいたしません。」
(大槻マミ太郎訳:誓い.小川鼎三編、ヒポクラテス全集、第1巻、
エンタプライズ、東京、1985;580-582より引用)
「あたりまえじゃないか」
と思うかもしれませんが、
こういう言葉がある以上、
そうじゃない人も存在した、
ということも言えます。
そして、
今もこうした言葉が大切にされている、
という背景には、
それを逸脱することがありうるから、
職業人として、専門家として
自らを律するために
この言葉が存在している、
ということが言えます。
同じように
人間の体に触れ、
人の体に刺激を与える
私たち手技療法の世界では、
どうでしょうか。
私は、このヒポクラテスの誓いを、
最初に姿勢調整法の技術を学んだ時に、
教えてもらいました。
この技術を、けして
人を傷つけるために使ってはならない。
人を傷つけないために、
安全な方法や体の知識を
学び続けていくことが大切。
と改めて心に刻むことができたし、
手技療法を使う限り、
あの日の気持ちを忘れずにいたい、
と思っています。
現在の日本では、
そうしたルールや道徳観のようなものは、
手技療法の業界全体で
統一された形では存在していません。
今は、そうした信条は、
施術者一人一人の
向上心と良心に
ゆだねられている状態です。
ここで最初の問いに戻ります。
どんな人だったら
「安心してこの人にまかせたい!」
と思えますか?
たとえば、
「もっと強く体を押してください」
とお客様から要望された時に、
「お望み通りの強さで押しておこう」
と強く押してくれる人なのか、
「これ以上の強さで押すことは
お客様の体を傷つける可能性が高く、
危険だからしない」
とお客様に伝える人なのか。
施術者を選ぶ時、私なら、
後者のように、
体の知識に基づいて、
より安全であるためには
どうしたらいいのかを考えて選ぶ力がある人を
選びたいと思います。
体をよくしたくて訪れる場所で、
気づかないうちに悪くされてしまうのは
いやだからです。
この例え、
医者でたとえたら、
「この薬効かないから
もっと強い効く薬ください」
と言われて、
「いいですよ」
とそれに伴うリスクも考えないで
本来必要ない、
より強い薬を処方するのか、
「そんなに強い薬はリスクが高いから、
この薬で様子をみようよ」
というのか、
というようなことです。
医療の世界でなくても、
手技療法の世界でも、
体のことだから、
知識や技術のレベルを高めることで
能力を向上し、
職業倫理に基づいて
判断をできる人に
体をまかせたい、
と考えるのは、
当然のことだと思います。
さて。
あなたはどんな施術者で
ありたいですか?
安全施術講習会、明日申込締め切りです。
http://www.siwjc.net/admission.html