学校の教科書を詰め込んだバッグが重い話、
再び話題になっています。
「教科書はすべて持って帰りなさい」
カバンが重すぎると怒りの声
「教科書はすべて持って帰りなさい」カバンが重すぎると怒りの声 - ライブドアニュース
4月から公立中1年の娘の鞄、12kg。こんなものを毎日背負って徒歩で登下校1.5km弱。腰が痛いと。全員「置き勉禁止」なんだそうだ。
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2018年6月19日
本気で呆れた。例えば工場で重筋作業を少なくするのは経営者の当然の務めだ。学校はわざわざ何をやらせてるんだ?!選んで持ち帰るとか当然出来る。
学校と話しますわ。
このツイートがキッカケ。
このお父さんのすてきなところは、
学校に話をするだけでなく、
娘さんから話を聞いて、
どんなルールで何が問題か、
現状で改善できるのか、を考えて、
親子で話し合っているところ。
詳しく聞くと、娘の学校は主要5科目が置き勉禁止だそうで、他の科目(技術とか)は学校に置いていっていいらしい。6時限の日に測って12kgだったのですが、今日は5時限。うち持ち帰りは3科目。でも10.4kg。飲み残しありの水筒や図書館で借りた本等が含まれてました。ルールの範囲でも軽く出来る。まずは! pic.twitter.com/MT0kzPEPWM
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2018年6月20日
娘によれば、主要5科目の教材のうち、持ち帰る意味のないものは1/3くらいのイメージ。他は、家での勉強で使うのだそう。選んで持ち帰れたらいいのにとのこと。国語の教科書が厚く、重い。使うところだけ運べればいいのに。
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2018年6月20日
色々知恵を絞って鞄を軽くして健康を守ること、ゲーム感覚で出来ないものか?
今ある問題に対して、
こういう工夫や対話をすることは、
大事ですね。
学校も、家族も、児童生徒自身も、
一緒に協力して、いい方法にたどりついて
いきたいものです。
「一人で何キロまで
荷物を運んでいいのか」
というのは、
実は労働衛生、安全の領域でも
たびたび話題になります。
私は以前そういう仕事をしていた時に、
各国のルールを各地の事業所に
調べてもらったことがあります。
他の問題の時も、こういう
「人間の健康や安全を守る」
ということにかけては、
世界ではヨーロッパが一番、
厳しくルール決めをしていました。
その時、体の小さな日本人よりも
ガタイの良さそうなヨーロッパの人の方が
重い物を運んではいけないことになっていて、
ビックリしたのを覚えています。
そうは言っても、
ガチガチの法律ではなく、
多少ゆるやかなルール決めじゃないと
仕事として成り立たない職業もあるので、
あくまで目安、とするしかありませんが、
地球という重力のある星で生きる以上、
重量物を運ぶことが
人の体に影響を与える可能性は、
知っておいて損はないと思います。
小学生の運ぶ重い荷物について、
東京都姿勢調整師会が
ヨミウリオンラインの記者の方に
取材を受けた時の全回答は、
以下のとおりです。
(内容は、健康科学博士に確認済)
ご参考まで。
学齢期の子どもたちが背負う荷物の重さは、
海外でも問題とされていて、
様々な調査や研究が行われています。
私自身が小学生の頃に腰痛や肩こりを訴えていた友人がいた記憶はないのですが、
今は、小学校で行う姿勢の授業で
「腰痛や肩こりを感じたことがありますか?」ときくと、
一斉に手が上がります。
また、脊柱側弯症や
運動器の問題のある子どもも増えています。
私たちが姿勢チェックをすると
側弯の予備軍がとても増えている、
という実感もあります。
日本の子どもたちが
こうした痛みを抱えていたり、
「姿勢が悪い」といわれる原因には
他にも生活習慣や環境の変化など
いろんな要素がありますが、
「荷物の重さ」も
そのうちの一つに含まれると考えます。
姿勢に関して言えば、
脊椎の生理的弯曲を含め
骨格のベースができて
体をしっかり支えられるように
なってくるのが10歳、
その後20歳くらいまで
筋肉と骨格は成長を続け、
大人の体になります。
小学校の低学年では
まだまだ体は幼児期に近く、
個体差があることを考えれば、
小学生時代全体をとおして
筋肉や骨格が未成熟で不安定な時期
と考えられます。
中学生、高校生についても、
成長が継続している状態であり、
姿勢は安定していません。
骨の形成上、骨を強くするために
ある程度の負荷をかけることは
もちろん必要ですが、
過度の重量物を運ぶのは、
運動でかける負荷とは違います。
海外ではさまざまな調査研究により、
子どもたちのバックパックや
ランドセルの重量を「体重の10%以下」
とすることを目安にしているようです。
荷物の重さをある程度制限することで
子どもたちのQOL向上や慢性痛の防止ができるだけでなく、健康な体での成長を促し、
未来の日本人の腰痛を減らし、
介護予防になる可能性を考えれば、
国、教育機関、各家庭が協力して
取組むべき公衆衛生的な課題だと考えます。
ただ、「荷物の重さ」 を
一定基準より軽くできるように
することも大切ですが、
ランドセルの背負い方をチェックしたり、
低学年からの家庭や学校での
姿勢の定期チェックや
適切な環境・ 運動指導なども大切です。
関連情報
日本:
年少者労働基準規則
(昭和二十九年六月十九日)
(労働省令第十三号)
(重量物を取り扱う業務)
第七条 法第六十二条第一項の厚生労働省令
で定める重量物を取り扱う業務は、次の表の上欄に掲げる年齢及び 性の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる重量以上の重量物を 取り扱う業務とする。
年齢及び性
重量(単位キログラム)
満十六歳未満
女
断続作業の場合 十二
継続作業の場合 八
男
断続作業の場合 十五
継続作業の場合 十
(昭六一労令三・全改、平一二労令四一・一部改正)
海外:
Schoolbags and back pain in children between 8 and 13 years: a national study.
スクールバックと背中の痛み 8歳から13歳の子供:全国調査
(マルタ島 2017年5月)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/p ubmed/28491300
背部痛の存在は、性別、体格指数(BMI)、体重に対するスクー ルバッグの重量比に統計的に関連していた。
Association of relative backpack weight with reported pain, pain sites, medical utilization, and lost school time in children and adolescents.
小児および青年の疼痛、疼痛部位、医療利用、就学時間喪失と相対 的なバックパックの重量
(アメリカ、Moore Chiropractic Wellness Centre、2007年5月)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/p ubmed/17430435
より若い学生と女性にバックパックの重量の影響があり、理由は体重が軽いことと女性は荷物が重い傾向があるため。
バックパックの重さが体重の10%以上になると、背部痛、就学時間や運動時間の喪失、カイロプラクティックの利用の増加、などに つながっている。
重いカバンから子供を守ろう!ヨーロッパのカルタ―ブル問題
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